えぇーっと、右足が先で…左足を…
はりねずみ君、どうしたの?松葉杖って事はケガだよね?
そうなんだよ。昨日捻っちゃって…病院で松葉杖の指示が出て、教わったんだけど難しくて…
私も前に数カ月間使ったことあるから、使い方教えようか?
ありがとう。是非お願いします
今回は、不運にも足の骨折や捻挫等の怪我に遭われ松葉杖歩行を余儀なくされてしまった方へ松葉杖の使い方を細かな所まで解説させて頂きます。
- 初めて松葉杖を使用する人
- 病院で松葉杖を突く様に言われたが詳しく教えてもらえなかった人
- 片松葉、両松葉の違いを知りたい人
- 松葉杖以外で足を着かずに歩けるアイテムを探している人
- 松葉杖を突くデメリットが知りたい人
鍼灸師・柔道整復師として13年の下積み(鍼灸接骨院や整形外科)を経て2016年に独立開業し、現在鍼灸接骨院を経営。 これまでに得た経験や培ってきた事を多くの方に知って頂き少しでもお役に立てて頂ければ。という事で副業ブロガーデビュー
現在、院のホームページは月に3万PVと多くの方に見て頂ける様になりましたが、目標は本業・副業共に10万PV達成させる事です。
主に身体の痛みや悩みについての記事を始め、他にもお得な情報・便利グッズ等のお役立ち情報も配信
上記について私がこれまでに経験してきた知識や情報を基に、分かりやすく解説させて頂きますが結論だけ知りたい方やお時間の無い方は目次から必要な箇所にジャンプしてご覧下さい。
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松葉杖の使い方や突き方
松葉杖の使い方は一見、簡単そうに見えますが殆どの方が間違った使い方をしていると思います。
正しい使い方、突き方をしないと大怪我をしてしまう恐れがあり、腕や脇腹が筋肉痛になり翌日から松葉杖を使用する事が出来なくなってしまうケースも多々見受けられますので、ポイントをしっかり抑えて正しい使い方をマスターしましょう。
大概の病院では看護師さんに松葉杖渡されて「お大事に~」と言われるか、ざっくりと教えられるか誤った使い方を教わる事が多いのでお困りの方やぎこちない使い方をしている人が多くいらっしゃいます。
そこで、病院勤務時代に大勢の患者さんへ指導させて頂いておりました経験を活かし、皆様に松葉杖の正しい使い方を解説させて頂きますので、お役に立てれば幸いです。
また松葉杖を必要とするのは、骨折や酷い捻挫等の時だけと認識されている方が多いと思いますが、肉離れや関節炎、痛風、アキレス腱障害、子供の成長期に起こる踵の痛み(踵骨骨端症)等、主に足の怪我や痛みで足が着けない程の痛みの場合でも使用します。
松葉杖の使い方:高さ調節
松葉杖を使う上で、まず始めにする事がご自身の身長に合った高さに調節する事です。高さが合わないだけで使いづらかったり、二次的なケガにも繋がる可能性もありますので適当な高さに合わせましょう
- 気を付けの姿勢で立ち、松葉杖を前15㎝・外15㎝の位置に置き持つ
- この時、脇と脇当ての間は指3本分の隙間を空ける
- ①②の姿勢で軽く肘が曲がる高さにグリップの位置を調整(気を付けの姿勢をとり手首の高さがグリップの位置という方法もある)
- 脇当てに体重を乗せると腋窩(脇)を走行する橈骨神経が圧迫され橈骨神経麻痺を起こす危険性があるため脇に脇当てを当てるのではなく、腕で松葉杖全体を挟む
- グリップの持ち方は手首を曲げるのではなく、起こす様に持ち床(地面)を押すように体重を乗せる
- 上記の2点(腕で松葉杖を挟む・グリップを床に向かって押す)が松葉杖がグラグラせず安定する持ち方
- 使用の際は毎回、必ずネジの緩みや調節ボタンのズレ、杖先のゴムの摩耗を必ずチェックする
高さ調節が不十分だと即転倒につながりそうだね
橈骨神経は主に指や手首を伸ばす筋肉に指令を送っているため麻痺が起きると、下垂手(drop hand・drop finger)と呼ばれる手首や指が垂れ下がった特異的な外見を呈し、指や手首を伸ばすことが出来なくなり場合によっては感覚異常もみられる事もあります。松葉杖による神経の圧迫であれば万が一神経麻痺を起こしても一過性の事が多く、時間と共に回復するのが一般的です。
松葉杖の突き方
松葉杖の突き方を覚えて頂く際の基本的な考え方としては、松葉杖が患肢の代わりをしてくれるという事です。
ですから、足や松葉杖の出す順番が混乱して分からなくなったとしたら、松葉杖が足の代役をしてくれているという事を思いだしましょう。
松葉杖の突き方:2本松葉無荷重編
まずは松葉杖を突く際に、使用頻度が一番高い方法である2本松葉杖歩行(無荷重)のご説明からさせて頂きます。
- 両側の松葉杖と患肢(ケガした足)を同時に一歩前へ出す
- 健肢(ケガをしていない足)を両松葉を結んだ線上に着く(この時、両松葉を飛び越えた位置まで健肢を運ぶとジャンプに近く勢いが付き過ぎ転倒の危険性が増すので注意)
- 両側の松葉杖と患肢を同時に前へ出す…………①②の繰り返し
頭では理解できても実際にやってみると難しいんだね。グラグラして怖いよ…
はりねずみ君、グラグラ不安定になる理由は、両腕で松葉杖を挟む事とグリップ部分に体重を乗せる様に押さえつける事で解消されるからね
両松葉と患肢を同時に出せば万が一、松葉杖が滑ったり突っかかったりしても、足を着く事で転倒を防げるからだよ。基本的には着かない事が望ましいからね
松葉杖の突き方:2本松葉部分荷重編
松葉杖を使用する際には、無荷重(患肢を着かない)か部分荷重または荷重可なのかの指示が医師から出ます。
例えば、骨折の場合で足を着く事によって骨折片の転位(ズレ)が危惧される場合は無荷重(No-weight)での松葉歩行から始まりレントゲン上で骨が癒合し始め、転位する可能性が低くなってきたらフロアタッチや部分荷重にシフトしていき、最終的に松葉杖が外れるという流れです。
部分荷重の基本は無荷重での松葉歩行の足を着くだけなので慣れてしまえばこちらの方が歩きやすいでしょう。
この部分荷重には1/3・1/2・2/3荷重等があり、ご自身の体重からkg数を算出し、荷重を調節します。
例えば、体重が50kgの人が1/2荷重の場合、25kg前後の体重をかける事になりますが感覚では荷重調節は出来ませんので、実際に松葉杖で立ち体重計の上に患肢を乗せて数値を見ながら適正な荷重を加え、その力加減を覚え調節しましょう。
- 両側の松葉杖と患肢(ケガした足)を同時に着く(適正な荷重)
- 健肢(ケガをしていない足)を両松葉を結んだ線より少しだけ前に着く(この時、両松葉と同線上だと支持基底面が狭く不安定となり、両松葉を大きく飛び越えた位置まで健肢を運ぶとジャンプに近く勢いが付き過ぎ転倒の危険性が増すので注意)
- 両側の松葉杖と患肢を同時に前へ出す…………①②の繰り返し
松葉杖歩行(無荷重)の長期化は危険?
松葉杖歩行は足をケガから守るためには重要な事ですが、ここで大切なのは極論をいえば1日でも早く足を着いた方が良いという事です。始めのうちは足を着かずに松葉歩行する事に不安や抵抗がある方でも次第に慣れていくと、今度は足を着く事に恐怖を感じたり痛みが出現する場合もありますが、これは一定期間足を着かずに生活していると、どんどん廃用が進み筋力が衰え、関節が硬くなるためです。
骨折の際は、骨が癒合する事で治癒となるのですが足を着かずにいると仮骨(かこつ)という新しい骨が出来にくくなります。骨はカルシウムと適度な刺激(荷重)と日に当たる事で体内に生成されるビタミンDの3つが揃わないと作られません。
ですから、捻挫や骨折でも転位の恐れが無いと医師が判断し荷重の許可を出しているのであれば、多少怖くても足を着く事が治りを早くする事に繋がります。
とは言いましても、数週間足を着いていなかった方がいきなり足を着くという行為がどれほどの恐怖かも理解できるので、1週間の間に…等と徐々にでもいいので努力しましょう。
重要な事なのでもう一度言います。
松葉杖を使う際はケガの状態にもよりますが、1日でも早く足を着く事が大切です。
足を着く事で筋肉や腱が動くから関節が固まらないって事だよ
松葉杖の突き方:片側松葉編
松葉杖を上手く使えない人の殆どが2本松葉杖歩行ですので、片側1本での松葉杖歩行はそれに比べれば転倒のリスクも低く簡単に習得出来ますが、街中で見かける間違った使い方をしている多くが片側松葉杖歩行です。
それは、持ち手です。正しい持ち手は健肢側(ケガをしていない足)ですが、大半の方が患肢側に持ってしまっている事が多いので注意しましょう。
- 健側肢(ケガをしていない足)側の手で松葉杖を持ち、松葉杖と患肢を同時に一歩前へ出す
- ①と同じライン上に健肢を出す
- 松葉杖と患肢を一歩前に出す…………①②の繰り返し
- 松葉杖を持つ手は健側がわ
- 重心が松葉杖に過剰に偏ると転倒の危険性が増すため、注意が必要
松葉杖の使い方:階段
松葉杖を使っての歩行は慣れてしまえばそこまで難しくもないと思いますが、一番の危険を伴い大怪我に繋がってしまう可能性が高いのが、階段の昇降です。
私も臨床現場では、患者さんに階段昇降をお伝えするかどうかは、その方の習得度や生活環境を伺い必要が無さそうな場合や平地歩行でさえままならない様な状況であれば勧めません。
上記でもいいましたが、階段の昇降は人によっては習得できないだけでなく最上段から転落してしまう可能性も十分考えられるため、無理そうであれば別の方法(下記参照)をお伝えするようにしています。
しかし、居住環境や通勤・通学でどうしても階段を昇降しなければならない方もいらっしゃいますし、簡単に習得できる方もいらっしゃいますので危険性が高いという事は常に念頭に置きながら挑戦してみて下さい。
尚、階段の昇降は両側・片側共に同様の手順となりますが片松葉の場合は手すりがあれば片手は手すりを持ちましょう。また家の中等の階段は松葉杖を使わずに、お尻を付けて昇降する事が一番安全です。
松葉杖の使い方:階段(昇段編)
松葉杖を使用した階段の昇段は、平地歩行に比べてレベルが一気に上がります。初めて訓練する際は、必ず誰か後ろ(下)から見守ってもらい場合によっては支えてもらうか、手すりのある階段で行いましょう。
- 健肢を一段上に乗せる(一段上の階段の先端に爪先が引っかからないように注意)
- 松葉杖と患肢を同時に健肢と同じ段差に持ち上げる…………①②の繰り返し
- 後ろ重心になると背中から転落する恐れがあるため、若干前かがみで前傾姿勢をとり重心が前方に加わるように
- 健肢を一段上に移動させる際は爪先が階段の先端に引っかからないように注意が必要だが、大振りになり過ぎないように
- 万が一、転倒・転落しそうな時は患肢でも足を着いても構わないし、前に倒れ込み後ろへの転落を阻止する
とにかく後ろに転落する事だけは避けなきゃね
松葉杖の使い方:階段(降段編)
松葉杖を使用しての危険度が最大となるのが階段の降段です。昇段も最上段まで登れば危険度は同じですが、スタートは最下段ですからまだ安心ですが、降段は一番高い所からスタートする事になりますから特に慎重に訓練しましょう。必ず補助に付いてもらうようにしましょう。
補助に付く人は後ろからベルトかズボンの腰の部分を持ち、少しでも前に倒れそうになったり転落しそうな場合は手前に引いてください
- 松葉杖と患肢を同時に一段下に降ろす(勢いよく降ろさずそっと静かに降ろす感じ)
- 健肢を松葉杖と患肢と同じ段に降ろす(ピョンっと飛ぶのではなくしゃがむように重心を低くして)
…………①②の繰り返し
- 前傾姿勢になると、そのまま転落してしまう恐れもあるため腰を落とし後ろ重心になるように
- 健肢を一段下に移動させる際は爪先や踵が階段の先端を擦らないようにように注意が必要だが、飛び越えないように慎重に
- 万が一、転倒・転落しそうな時は患肢でも足を着いても構わないし、後ろに倒れ込み後ろへの転落を阻止する
- 実際にやってみれば分かるが、先に降ろす方を間違えて、健肢のみを降ろそうとすると杖が脇に挟まってつっかえてしまうので注意
以上が階段の昇降手順になりますが、お読み下さった時点で難しそうだなと感じる方は下記の方法にしましょう。
松葉杖:オススメのアイテム紹介
松葉杖は病院にて無料貸出してくれる場合や一定額を支払って借りる(例:1日〇〇円等)等が一般的ですが、実はネットでも個人で購入する事が出来ます。価格もそこまで高くない為、病院の使い古した物をレンタル料を支払ってまで借りるくらいであれば新品のキレイな商品を購入する方が良いという方もいるかもしれません。
そこで当記事ではオススメの松葉杖とそれに代わる代用品の2点をご紹介させて頂きます。
松葉杖の使い方や突き方まとめ
松葉杖の使い方や突き方をここまで解説させて頂きましたが、大多数の方が使い方を知らなかったり誤った使い方をしていたのではないかと思います。
可能であれば、なるべくは使わない方が良いのですが数週間、家で安静にできる環境の人ばかりではないしょうし、安静にする事でかえって身体全体の体力や筋力も低下してしまうため多少は歩いた方が良いですし、気分転換にもなります。
ですから、家に籠りがちになる位であれば正しい使い方をマスターし多少は外に出かけてみるのも良いかもしれません。
正しい使い方を一度覚えれば、そこまで難しい事ではありませんので諦めずに練習してみて下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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